月刊「モノログ・ヒトログ」

2017年11月17日デザイン開発ワークショップ

●MEETS! FURNITURE 2ndに向けて
柿内です。昨年、第1回の展示イベントを行ったMEETS! FURNITURE。第2回となる今年も、境木工は出展します。バイヤーと生産者がつながる場として、考えを共有する7社が協働で主催するメーカー主体の家具見本市です。
今年、新作として発表するのは、村澤一晃さんデザインの「TRATTO」、リビングボードとチェストです。樹種は、ダイナミックな木目を活かしたケヤキと、自然の表情をたたえるフシ有りオークの2種類。本日は、村澤さんと工場スタッフとで、MEETS! FURNITURE出展前の最終的なチェック、プロトタイプの検証を行います。



 
●ワークショップはデザインセッション
プロトタイプは村澤さんにも概ね満足していただけました。境木工スタッフと意見交換し、MEETS!発表に向けた「TRATTO」の改良製作にとりかかります。
村澤さんのデザイン開発ワークショップの特徴は、境木工の得意なことを引き出し、さらに進化を促すことを意図したデザイン提案をしてくれることです。もし、図面を送ってきてその通りにつくることだけ求めるデザイナーだったら、職人スタッフたちはいまのように食いついていかなかったでしょう。今日のワークショップの様子を振り返ると、数年前のワークショップ開始当初と比べて段違いにノリが良くなっています。いきいきとして楽しそうです。村澤さんに「こういうことができますか?」と問われて、それが未知のことや経験のないことだったとき、「できない」「わからない」と言わずに、可能性を考え、スタッフ同士で意見を交わし、解決する答えを探る。そうした姿勢が回を重ねるたびに顕著になっていきます。



 
●ハコモダンは箪笥モダン
今回発表する「TRATTO」のアイテムは、ボードやチェストと呼んでいますが、つくりは110年の伝統を活かした箪笥そのものです。レール金具を使わない擦り込みの引出しは桐箪笥と同じ構造。木目の表情を引き出す塗装は民芸箪笥「吉野クラフト」と同じ技術を注いでいます。
「ハコモダン」は、箪笥の技術を生かしてつくる今のデザインの箱物家具です。外見はまったく異なるようでいて、「ハコモダン」と「吉野クラフト」は同じDNAを持っています。
昨年は、箪笥の技術でつくったスツール「PRIMO」を前面に打ち出した展示をしました。今年は、伝統の箪笥技術でつくる現代の箪笥です。そのほか、既存シリーズの新アイテムや新カラーも発表します。多くの皆さんにMEETS! FURNITUREにご来場いただければと思っています。


2017年11月16日三つの得意

境木工の境です。ホームページをリニューアルした機に、私たちが目指していることをあらためて書いてみます。
 
●一つ目の得意を伝承する
境木工の創業は明治40年。おかげ様で今年110周年を迎えました。箪笥の産地である大川家具の歴史とともに歩んできた箱物メーカーです。大川家具の産業としてのピークは量産型の家具作りが主流となったときでしたが、日本の住まいの変化とともに箪笥の生産は激減しました。
境木工は職人の技術を注いでつくる伝統的な箪笥づくりを受け継いできたことで、民芸家具と呼ばれる「吉野クラフト」は定評を得てきました。昔ながらの技と手間を大切にしながら、改善すべきことは改め、新しいことも積極的に取り入れ、「吉野民芸」を中心とするシリーズをこれからもしっかりと受け継いでいきたいと考えます。
 



 
●二つ目の得意を生み出す
無垢の桐箪笥づくりに通じる「吉野クラフト」は定評を得ているシリーズですが、いまの時代では特別な空間に置かれたり、アクセントとなるアイテムとして位置付けられる家具です。そこで、今の時代の生活や空間に合った家具づくりにも力を注ごうと考えたのが「ハコモダン」シリーズです。
その名の通り、境木工の箱家具づくりの技術を活かした、モダンデザイン家具です。この取り組みを推める中で出会ったのが、家具デザイナーの村澤一晃さんです。村澤さんが「ハコモダン」のデザイン開発に参画してくれました。村澤さんが頼もしいのは、個々のデザイン開発のプロセスで当社のスタッフを巻き込んくれることで、境木工の考え方やものづくりの取り組み方そのものまでのデザインに関わってくれていることです。
箱物家具の技術で、箱物家具以外の家具もつくりだす。「ハコモダン」は、新しい得意へのチャレンジです。
 



 
●三つ目の得意で新しい分野を拓く
境木工では、特注家具や店舗・商業スペースの什器なども承っています。こうしたオーダー対応のノウハウを生かし、住まいづくりに寄り添った家具づくりにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。.
股旅社中に参加しているのは、こうした考えと会の活動が共鳴したからです。工務店さんを介してひとりの生活者の要望を踏まえながらつくりあげる家具づくりの工程は、プロダクトの工程とは違います。住まいづくりと一緒に考え、住まい手の声をダイレクトに聞かせてもらう。ここでの取り組みには、「ハコモダン」や「吉野クラフト」づくりにおいても新しい扉を開くための鍵となるものが見出せる、そんな可能性を強く感じています。
 
あれもこれもやろうとしているわけではありません。箱物家具メーカーとしての一芸をより鍛えていくために、3つの道筋を見据えて歩んでいこうという、自分たちに課したテーマです。
 


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